はち

6+1人と日々の雑記

そこに立っていたあなたは誰だ

味園ユニバースを観た。

渋谷すばるが歌っている姿を見たい、ただそれだけで借りて観た。

結論から言うと、観なければよかったと思ってしまった。

 

渋谷さんの歌は本当によかった。文句なしでよかった。

最初に歌うシーン、鳥肌が立って自然と涙が出てきた。直立で肩もきゅっと竦めてる感じなのに、あんな声が出せるの本当にすごい。

そして最後のライブシーン。あそこで歌っていたのはポチ男なのか、大森茂雄なのかわからなかった。それまでの誰でもないように感じた。もしかしたらあれが、「歌が好きな大森茂雄」の本当だったのかもしれないけど。

その歌の途中で、ふと漏らした笑み。

渋谷すばるだ、と思った。

そう思ってしまってから尚更、あそこで歌っているのが誰だかわからなくなった。ポチ男?茂雄?すばる?あなた誰?

同時にちょっと苦しくなった。

渋谷すばるの姿をした人が歌っている、その後ろに関ジャニ∞がいない。

関ジャニ∞じゃない演奏に合わせて渋谷すばるが歌っている。

わたしが観ているのは映画だから当然なんだけども、これから先、映画じゃない現実でそうなる。今までもバックバンドの曲はあったけれども、それでも周りにはメンバーがいた。これからはそれもない。映画で観た景色が当たり前になる。

 

ああ、嫌だなあ。

 

って思ってしまった。

この映画を観るまでは、渋谷さんの再始動が楽しみだった。もちろん寂しさはあったけど、どんな音楽を魅せてくれるんだろうってわくわくしていた。

今では不安しかない。わくわくできるだろうか。直視できるだろうか。

応援、できるだろうか。

正直そのときになってみないとわからないけど、でも応援したいなとは思う。気持ちと感情がぐっちゃぐちゃになってそうだけど。

ああ、味園ユニバース、観なきゃよかった。

 

渋谷さんの声ってすごい威力がある。

正直言うと、声も歌い方も最初は苦手だった。なんていうか、クセが強すぎて。

でもいつのまにか、あの突き抜けるような、掴みかかってくるような声が大好きになっていた。胸ぐら掴んでくる感じがたまらない。大きな口開けて全力で歌っているところが最高にかっこいい。個人的に渋谷さんが歌う母音の あ が好き。力強いときもあれば、吐息交じりにセクシーに抜けていくときもある あ が、すごく好き。

ああ、いろいろ複雑だけど、でもやっぱり渋谷すばるの声が、歌が聴きたい。

その大好きな声で胸ぐら掴んでぶん殴ってほしい。後ろに誰がいようが関係ないって、歌で、音楽で、魅せつけてほしい。

なんだかんだ言っても、やっぱり渋谷すばるの音楽が大好きだ。それを再認識できたのは、映画を観てよかったことかもしれない。

 

最後にストーリーの感想を少し。

ストーリーはちょっともったいない。特に最後の方のご都合主義がすごくて、置いてけぼりをくらった感じがする。記憶を取り戻すまでが丁寧だったから、余計にもったいなく思ってしまった。大森茂雄が歌をやめたこととか、お金盗んだこととかもうちょっと肉付けがほしかった。記憶を失っても歌うことは覚えてたくらいだから相当の思い入れがあるんだと思うし、その辺りの掘り下げがもう少しあったら最後のライブシーンの味わいがまた変わったかもしれない。